米川耕一法律事務所
取締役解任
        


 代表取締役(又は株主)が取締役を解任させたいと考えた場合、どのような手続を経る必要があるでしょうか?
2001年10月2日 弁護士鈴木謙吾

 取締役の不正行為や能力の欠如等を理由に、代表取締役や株主が当該取締役を解任したいと考える場合があります。


 その場合には、代表取締役が独断で解任することができるのでしょうか。また、株主は取締役の解任に何らかの関与ができるのでしょうか。


 まず、商法257条1項によれば、取締役の解任決議は株主総会の専権になっています。


 したがって、代表取締役の一存で解任できないことはもちろん、取締役会決議のみでは取締役を解任できません。

 また、商法257条2項によれば、取締役解任決議は特別決議事項とされています。
 この点、特別決議とは、商法343条により、発行済株式総数の過半数に当たる株式を有する株主が出席し、その出席者の3分の2以上の賛成が必要とされる決議のこととされています。

 したがって、代表取締役が3分の2以上の株式を有していれば、取締役を解任することができそうです。

 しかし、商法232条によれば、株主総会を開催することを少なくとも2週間前には各株主に通知しなければなりません。

 そして、商法231条により、株主総会を招集するのは原則として取締役会の権限とされています。

 解任される取締役からすれば、自らの解任決議のための株主総会招集に難色を示すことが十分に予想されますので、取締役会は株主総会を招集しない場合も考えられます。

 そこで、商法237条1項により、6か月前より引き続き発行済株式総数の100分の3以上の株式を有する株主は、株主総会の招集を請求できるとされています。

 そして、商法237条2項により、株主総会の招集請求があったにもかかわらず、株主総会の招集がされない場合には、裁判所の許可を得て株主総会を招集することができるとされています。

 もちろん、このような手続で株主総会を招集しても、数の論理で取締役解任決議が否決されてしまう場合も十分あり得ます。

 しかし、商法257条3項により、取締役解任の訴えをする場合の要件を充たすことになりますので、その意義は決して少なくありません。

 以上のような手続の流れを踏まえた上で、取締役解任決議を断行すべきか、それとも取締役自身による自主的な辞職を求めるのか等の法的手段を検討していくことになると考えられます。







(次)



Copyright © 1999-2001 Kengo Suzuki, all rights reserved.

       










取締役解任