成年後見制度


弁護士永島賢也2001年3月19日

 成年後見制度は、法定後見(後見・保佐・補助)と任意後見とに分かれています。

 この制度は、平成12年4月1日からスタートしました。その前年と比較すると、新受件数は増加しているとのことですが、他方、思ったよりずっと少ないという見方もあります(成年後見センター・リーガルサポート)。とりわけ、補助開始審判の申し立ては低調なようです。

法定後見について手続き概略は次のとおりです。

 家庭裁判所の受付には申し立てをする際の定型の申立用紙が用意されています。

申立用紙・申立説明書・申立書付票

 このうち、付票は、本人の状況等について記載を求められるもので、担当者の事務処理の迅速化を図るもののようです。

 次に受付です。

 受付では、いろいろ制度について説明が受けられ、場合によっては、後見にするか、
保佐にするかなど、審判申立の選択についても相談に乗ってくれるようです。


 必要な書類を添付します。

添付書類・登記印紙・郵便切手など

主なものとしては、
 ・本人の戸籍付票(登記が必要だから)
 
 ・登記事項証明書
  (既に他の法定後見がなされていないかどうか、任意後見契約が登記されていないかどうか、後見人候補者についてはどうかなど調べるため)
 
 ・本人の診断書(方針決定のための資料として申立時に求められる)

 ・成年後見人等の候補者の身分証明書(破産者であるかどうか)

 登記印紙(4000円くらい)

 郵便切手(3200円くらい)

 鑑定・診断
 後見・保佐開始審判をする場合は原則として鑑定が必要です。
 もっとも、植物人間である場合などは例外とされています。
 補助開始審判・任意後見契約に関して任意後見監督人の選任については医師の診断書等が要求されます。
 鑑定には、費用がかかります。これをあらかじめ納めなければなりません。費用については裁判所書記官が相談に対応してくれるようです。
 もっとも、私は、裁判所が、鑑定を依頼する医師を確保するのは容易なことではないと思います。
 

 本人の調査
 これは、病院や施設などに出張しなければならない場合もあり、機動性が必要なので調査官が行っているようです。
 調査官は、本人と面談するとき、本人を誘導することなく、本人以外の人物を排除し、かつ、プライバシーに配慮しなければならないといえます。
 しかし、これは、現実問題としてはかなり困難な場合もあり得ます。調査官の資質に委ねざるを得ないところも大きいと思います。

6 その他状況確認
 民法843条(876の2、876の7)によると、成年後見人等の選任は家庭裁判所の職権で選任されます。
 逆にいうと、これは、裁判所にとって、かなりの負担と思われます。というのは、同法843条4項にもあるように、本人の状態、生活、財産の状況、成年後見人の職業、経歴、利害関係の有無等まで考慮して選任しなければならないからです。
 
 親族間でいろいろな利害が絡み、紛争が生じていれば、いったい誰を選任すればよいのか困難になると思います。
 
 さらに、成年後見人には法人が選任されることもありうるので、その調査は、当該法人内部にまで及ばざるを得ません。法人の成年後見人等に対する監督は、家庭裁判所の直面する新たな問題です。

 成年後見制度は、従来のように本人の財産をいわば消極的に管理し、できるだけ消費してしまわないように注意するというだけではなく、むしろ、積極的に、本人の療養看護等のために利用することまで期待されていると思います。
 おそらく、そのような積極的な財産運用についての計画までも調査官は調査するものと思われます。

 これは、介護保険だけでなく、今後の各種福祉制度が、本人を客体化した措置という方法から、本人を主体とした契約という方法へという理想をもって、制定・運用されていくことと無縁ではないと思います。

 自分の将来を自分の将来の近親者ではなく、現在の自分自身によって決めるという考え方が根底にあると思います。















             
米川耕一法律事務所
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