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 ゴルフ会員権の預託金は返ってくるのでしょうか?
弁護士櫻井滋規 2001年7月9日


  0 ゴルフ会員権預託金返還問題とは

 ゴルフクラブの会員となる際に、預託金を預けるという会員システムがあります。本来預託金は、会則に据置期間が定められており、その据置期間の経過により(但し、退会を条件とすることが主流ですが)返還されることになっています。
 
  しかし、バブルの崩壊と長引く不況により、ゴルフクラブが資金繰りに困り、預託金を返還する余裕がなく、理事会や取締役会などの据置期間の延長決議という措置をとり会員の預託金返還請求を拒む事態が生じています。

 これが預託金返還請求問題といわれているものです。

  1 会則に注意しましょう

 ゴルフクラブ側が、預託金の据置期間の延長決議をした場合、預託金は延長された期間が経過するまで、請求できないのでしょうか。

 まず、会則を見てみましょう。ほとんどのゴルフ場の会則には、預託金の据置期間が定められている他に、預託金の据置期間の延長ができる旨の規定があります。通常は、「天災地変その他不可抗力の事態が発生した場合は、理事会の決議により据置期間を延長することができる」などという文言になっています。ゴルフクラブ側は、その会則を根拠に据置期間の延長をしてきます。

 法律的には、契約内容の一方的変更はできないというのが大原則です。そのため、預託金の据置期間が会則に定められている以上、本来ゴルフ場は、据置期間どおり返還されなければなりません。

 しかし、逆に言えば、契約の内容となっていれば、据置期間の延長について定めた規定がある限り、預託金の据置期間の延長の措置は有効ということになるのです。

 ただし、ゴルフクラブ側に生じている具体的事情が、会則上の据置期間を変更して良い場合にあたるかは、別途検討が必要となり、仮に訴訟となった場合には、この点が返還請求が認めれれるかどうかの分かれ目となります。

 なお、裁判例の傾向は、今のところ、バブルの崩壊・ゴルフ場の経営不振は、「天災地変その他不可抗力の事態が発生した場合」にあたらないというのがおおかたの傾向です。

 また、前記の会則の文言に他に特殊な文言たとえば「クラブの運営上または会社経営上やむを得ない場合」「預託金を返還することが著しく困難であり、かつこれに応じた場合他の会員の施設利用に悪影響を及ぼすおそれがある場合」などといった文言の場合には、注意が必要です。裁判例の中には、そのような文言がある場合には、預託金の返還請求が棄却されたものもあります。


  2 訴訟を提起すると・・・

 ゴルフ場が預託金を返還しない場合には、訴訟を提起することになります。現在の判例の傾向を見るかぎり、預託金返還請求が認容される判決が大多数ですが、会則文言によっては、棄却される場合があることは1で説明したとおりです。 

 訴訟提起後、ゴルフクラブ側から和解の申し出がある場合が、和解内容はもともとゴルフクラブが苦しい状況にあるので、若干会員には不利な内容であることが多いと思われます。ただ、和解によって現実的にすこしずつでも回収できるという点はメリットですので、本人訴訟(弁護士に依頼しないで、自分で訴訟を起こすこと)の場合には、よく考えた方がよいでしょう。


  3 回収にむけて・・・

預託金返還請求訴訟を提起し、勝訴判決をもらっても、直ちに預託金が返還されるわけではありません。強制執行という手続きによることになります。ゴルフクラブが有する財産に対して、強制執行をかけて、預託金を回収することになります。この場合に、債権に執行するか、動産などに執行するかはケースバイケースです。


4 最近の動きは・・・

預託金返還請求訴訟は、現在過渡期にあります。これまで、預託金返還請求訴訟の大部分は会員側が勝つという傾向にありましたが、最近ゴルフクラブの経営不振による倒産の危険が高まっているため、ゴルフクラブ側を保護する理論が学者・弁護士により主張されています。裁判例では、まだ見受けられないようですが、今後どうなるかはわかりません。
ゴルフクラブの会員となる際には、会員システム如何(株主制か預託金制か)、会則の規定の仕方(預託金制会員でも会則文言に特殊な文言がないか)、その他の措置の有無(会員権の分割等特別な措置を講じるゴルフクラブもある)をチェックしましょう。
            














             






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