営業秘密

 営業秘密とは
  
弁護士 鈴木貴夫 2006年10月16日

1.「それは営業秘密だから教えられないよ。」などという会話を聞いたことがあります。

では、どのような情報が「営業秘密」にあたるのでしょうか。


2.不正競争防止法という法律があります。

その第2条6項に「営業秘密」の意味が書いてあります。

「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいいます(第2条6項)。

すなわち、「営業秘密」というには、@秘密として管理されていること(秘密管理性)、A事業活動に有用な情報であること(有用性)、B公然と知られていないこと(非公知性)の3つの要件を満たさなければならないということができます。

特に、@秘密管理性は、営業秘密の中核的要件であり、最も問題になります。

これら3つの要件を満たさないと、営業秘密とはいえず、営業秘密を誰かに使用されても、不正競争防止法による保護が受けられなくなってしまうのです。


3.そこで、営業秘密の中核的要件である@秘密管理性について考察することにします。

(1)
まず、秘密管理性の有無を判断するにあたって、判例上は、一般的に、ア:情報の秘密保持のために必要な管理をしていること(アクセス制限)、イ:それが客観的に認められていること(客観的に認識可能性)を基準にしているようです。

(2)
では、具体的には、どのような事実が基準となるのでしょうか。判例にあたってみるとおよそ次のような事実が基準になっているようです。営業秘密が紙媒体に記載されている場合と磁気情報として記録されている場合とで、若干異なると思われるので、分類して紹介することにします。

@紙媒体
・ マル秘の印や秘密であることを示す文字等が表示されているか
・ 施錠可能なロッカー内に保管しているか
・ 従業員に秘密にするよう指導しているか
・ 秘密保持契約を締結しているか
・ 管理保管方法について
・ 営業秘密の収納・保管・破棄方法を規定しているか
・ 営業秘密の収納・保管・破棄方法について具体的な指示・指導をしているか
・ 保管場所を特定しているか
・ 就業規則により秘密保持を厳しく要請しているか

以下は、主に磁気情報を営業秘密とする場合の基準である。
・ アクセスできるものを制限しているか
・ アクセスを制限するためのパスワードが設定されているか
・ パスワードを知られないよう毎月変更しているか
・ 紙媒体への出力が制限されているか、
・ 他のコンピューター及びインターネットに接続されているか
・ アクセスに使用されるコンピューターに対し、立ち入り制限区域を設置するなどしてアクセスを制限しているか

(3)
但し、上記事実が全てそろわなければならならいというものでもなく、また1つでも満たしていれば良いというものでもありません。

実際に営業秘密といえるか否かの判断は、営業情報自体が本来有する秘密性、企業規模、従業員数などを考慮し、個別具体的に要件充足の有無を判断していかなければなりません。

例えば、大企業の場合には、多数の従業員がアクセスする可能性あることから、誰がアクセスしても営業秘密であることが認識できるような厳格な管理が必要とされる場合もあると考えられます。

裁判例は、客観的に外部に現れた明確な管理の意思及びアクセスの制限を要求しているように思われます。

     

以 上
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