業務委託契約

 業務委託契約の法的性質
  
弁護士 湯澤功栄 2006年10月31日

1.近年、業務を外部に委託する、いわゆるアウトソーシングが、新しい経営手法として広く取り入れられています。

 → 業務委託と雇用

その際、委託者と受託者の間で「業務委託契約書」が取り交わされることが多いのですが、業務委託契約というものは、民法に規定がありません。

それでは、業務委託契約とは、どのような法的性質を有するものでしょうか。以下、「業務委託」という言葉から、他人の役務(サービス)の利用を目的とする民法上の契約について挙げた上、考察します。

(1)雇用

雇用とは、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずるものです(民法623条)。

例えば、受託者が、委託会社の就業規則や勤務時間に拘束されるなどの指揮監督関係のもと、業務の委託を受ける場合などです。
   
(2)請負

請負とは、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことによって、その効力を生ずるものです(民法632条)。例えば、製品の開発委託などです。

請負の受託者は、委託者から独立し、契約は仕事の完成を目的とする点で、雇用と異なります。仕事の完成が目的である以上、受託者は下請も原則として自由に行うことができます。     
 
(3)委任・準委任

委任とは、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずるものです(民法643条)。これに対して、法律行為でない事務の委託が準委任です(民法656条)。

例えば、会社の経営を委託する場合などは、委任及び準委任的な性質を有します。

雇用と異なり委託者から独立して、請負と異なり仕事の完成を目的とするわけではなく、受託者の能力に着目して一定の事務処理につき受託者の自由な判断を信頼し  て委ねるものです。

(4)寄託

寄託とは、当事者の一方が相手方のために保管をすることを約してある物を受け取ることによって、その効力を生じるものです(民法657条)。

例えば、製品の保管委託などです。


2.考察

結論から言いますと、委託する業務の内容により、業務委託契約の法的性質が決まるので、その法的性質を一義的に言うことはできません。

これは、契約書のタイトルや文言などの形式で契約の法的性質が決まるものではないということも言えます。

以上から、業務委託契約は委託の内容ごとその法的性質は様々であり、(1)雇用、(2)請負、(3)委任・準委任、(4)寄託、又は、(1)〜(4)及び他の民法上の契約類型との複合的な性質を有するもの(混合契約)、民法上の契約類型のいずれにも属さないもの(無名契約)もあるということです。

ここで重要なのは、業務委託契約の内容を精査し、いかなる法的性質を有するものかを見極めることです。

例えば、雇用の性質を持つものであれば、委託者は労働基準法の適用により不測の事態を生じさせないようにするなど、業務委託契約書作成の段階において、契約上のトラブルを事前に防止することが重要です。
                                                                                 
以 上
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