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法律研究

業務委託契約と雇用 (2008/01/28)

 前回のコラムでお話ししたとおり、業務委託契約は委託する業務の内容により法的性質が決まり、いわゆる使用従属性が認められる場合には雇用(民法623条)となります。それでは、いかなる場合に使用従属性が認められるのでしょうか。

 この点、労働基準法研究会報告(昭和60年12月19日)では、使用従属性が認められる「労働者」(労働基準法9条)の判断につき、以下の基準を掲げています。


1 使用従属性に関する判断基準


(1)指揮監督下の労働に関する判断基準


 例えば、@仕事の依頼や業務従事の指示等に対して諾否の自由がない場合や、A業務内容及び遂行方法につき委託者の具体的指揮命令を受けている場合などは、指揮監督下の労働として、使用従属性を認める重要な要素となります。


(2)報酬の労務対償性に関する判断基準


 例えば、欠勤した場合には応分の報酬が控除され、残業をした場合には通常の報酬とは別の手当が支給されるなど、報酬の性格が委託者の指揮監督の下に一定時間労務を提供していることに対する対価と判断される場合には、使用従属性を補強することになります。


2 労働者性の判断を補強する要素

  
 労働者性が問題となる限界事例(例えば、在宅勤務者など)については、使用従属性の判断が困難な場合があるので、以下の要素をも勘案して総合判断する必要があります。   


(1)事業者性の有無


 例えば、@受託者が所有する高価な機械・器具を用いて業務を行う場合や、A報酬の額が委託会社において同様の勤務に従事している正規従業員に比して著しく高額である場合、Bその他裁判例では、業務遂行上の損害に対する責任を負うことや独自の商号使用が認められている場合などは、受託者に事業者としての性格が強く、労働者性を弱める要素となります。   


(2)専属性の程度


 例えば、@他社の業務に従事することが制度上制約され、また、時間的余裕がなく事実上困難であるなど、専属性の程度が高く、経済的に委託会社に従属していると認められる場合や、A報酬に固定給部分がある、業務の配分等により事実上同定給となっている、その額も生計を維持しうる程度のものであるなど、報酬に生活保障的な要素が強いと認められる場合には、労働者性を補強する要素となります。


(3)その他


 例えば、@採用・委託等の際の選考過程が正規従業員の採用の場合とほとんど同様であること、A報酬について給与所得としての源泉徴収を行っていること、B労働保険の適用対象としていること、C服務規律を適用していること、D退職金制度・福利厚生を適用していることなど、委託者が受託者を自らの労働者と認識していると推認される場合には、労働者性を補強する要素となります。


 今日では委託業務の多種・多様化により、上記基準に照らしても当該業務が雇用といえるかは分かりにくい場合もあるので、詳細は当事務所にご相談下さい。

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